持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ、以下、デブリ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、創業者兼 CEO 岡田光信、以下「アストロスケール」)は、本日再突入宇宙機の大気圏影響(Atmospheric Impact of Reentered Spacecraft、以下「AIRS」)イニシアチブの立ち上げを発表しました。本イニシアチブは、宇宙機の再突入が地球の大気に及ぼす影響についての科学的理解を深化させることを目的に、アストロスケールが主導・招集する新たな業界横断の取り組みです。Planet社およびサウサンプトン大学が創設パートナーとして参画し、産業界と学術界の知見を結集します。
地球低軌道(LEO)での活動が急速に拡大する中、今後数年間で地球大気圏に再突入する衛星の数は大幅に増加すると見込まれています。これまで宇宙の持続可能性に関する取り組みは、軌道上での安全運用やスペースデブリの除去に重点が置かれてきましたが、宇宙機の再突入が大気に与える影響は、十分に研究されてこなかった分野です。
再突入時、宇宙機は極度の高温と大気ガスとの複雑な相互作用にさらされ、融解、破砕、蒸発といった現象が生じます。これらの過程で放出される物質は、大気圏のさまざまな層に到達すると考えられていますが、直接的な測定やモデル化は困難です。また、現在のシミュレーションモデルは、実機データへのアクセスが制限されているため、単純化された宇宙機の仮定に基づいています。このため、高度な学術モデルの結果であってもその妥当性や適用可能性には限界があります。
こうした課題に対し、AIRSイニシアチブは、実際の産業データと最先端の学術モデルを連携させることで、この知識のギャップを埋めることを目指します。宇宙機運用者や製造業者は、機密性の高い商業情報を適切に保護しつつ、限定的かつ非独占的な宇宙機設計情報を学術研究者と共有することが可能となります。これにより、大気への影響モデリングの精度向上が期待されます。材料構成や概算の質量内訳といった基礎的な情報は、機密保持を伴う二社間契約のもとで共有され、機器配置や再突入プロファイルなどのさらに詳細なデータについては参加者の裁量に応じて提供することが可能です。これらの情報共有を通じて、再突入時の影響をより正確かつ包括的に評価できるようになります。
アストロスケールは本イニシアチブの全体調整を担い、Planet社とともに自社の宇宙機データを提供します。Planet社は、地球観測衛星の製造・運用における豊富な専門性を有し、サウサンプトン大学は航空宇宙工学および大気科学分野における世界有数の研究力を提供します。アストロスケールと創設パートナーは、実世界の宇宙機データへのアクセスを拡大し、大気への影響のモデリングにおける不確実性を低減することで、将来の低軌道利用に向けた、より根拠に基づいた意思決定を支援していきます。



