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日本発・世界初のミッションで第7回宇宙開発利用大賞にて防衛大臣賞を受賞

掲載日  カテゴリー ブログ
日本の防衛式典において、アストロスケールCEO兼創業者である岡田光信が防衛大臣賞の賞状を受け取っている様子。背景には関係者が着席している。

持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去を含む軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールはこの度、3月17日に開催された内閣府主催の「第7回宇宙開発利用大賞」表彰式において、同社が開発・運用し、世界で初めて※1本物のデブリへの接近や近距離での撮影等に成功した商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」のミッションが評価され、防衛大臣賞を受賞しました。

日本の防衛式典において、アストロスケールCEO兼創業者である岡田光信が防衛大臣賞の賞状を受け取っている様子。背景には関係者が着席している。

提供:宇宙開発利用大賞

宇宙開発利用大賞は、宇宙開発利用の推進に多大な貢献をした優れた成功事例に関し、その功績をたたえることにより、我が国の宇宙開発利用の更なる進展や宇宙開発利用に対する国民の認識と理解の醸成に寄与することを目的とした表彰制度です。

この度アストロスケールが受賞した防衛大臣賞は、防衛分野における宇宙開発利用の推進及び宇宙空間の安定的利用の視点から、防災を含む国民の安心・安全への寄与に特に顕著な功績があったと認められる事例に授与されるものです。

受賞のポイント(選考委員講評)ADRAS-Jでのデブリ接近実証について、世界で初めて近接及び近距離での撮影に成功したことは、将来的なデブリ対策だけでなく、宇宙状況把握に資する可能性のある技術を確立したことは、高く評価できる。デブリ除去技術自体は人類全体が取り組むべき非常に重要な技術であり、その 第一歩を刻んだ点は、高く評価できる。

アストロスケール代表取締役社長 岡田光信のコメント

「宇宙開発利用大賞にて防衛大臣賞という栄誉ある賞をいただき、大変嬉しく思います。ADRAS-Jミッションは、アストロスケールにとっても非常に重要なミッションでした。今回の受賞は、その功績が認められるとともに、当社の軌道上サービスへの期待を込めてのものだと認識しています。主催者様、選考委員の皆様、賞をいただいた防衛省様、そして本ミッションの契約とご支援をいただいたJAXA様に、感謝申し上げます。」

ADRAS-Jは、デブリ対策や宇宙の循環型経済を可能にする「宇宙のロードサービス」とも呼べる軌道上サービスに必要不可欠な、「対象物体に安全、精密に接近する」RPO(ランデブ・近傍運用)※2技術の確立を目指して実施したミッションです。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証(CRD2)フェーズⅠとして開発と運用を行い、JAXAの支援を受けながら、対象デブリである大型デブリ(日本のロケット上段:全長約11m、直径約4m、重量約3トン)に対して遠距離からの接近や近距離での撮影、周回観測等、日本から世界初の成果を成し遂げ、軌道上サービスや宇宙の持続可能性の実現に向けて大きく前進しました。

対象物に安全かつ精密に接近・操作する技術は、デブリ除去など軌道上サービスに共通する基盤技術です。超高速で物体が移動する低軌道において、位置情報や姿勢維持の協力が得られない非協力物体へのRPO技術は未確立の新技術であり、極めて高難度でした。

また、デブリ問題の原因の一つは宇宙開発が長らく「使い捨て文化」だったことです。打上げ後は運用のみで、軌道上での整備・保守等の技術はなく、役目を終えた物体はそのまま軌道上に残る形でした。アストロスケールの軌道上サービスは「宇宙のロードサービス」としてこの欠如を補うものであり、デブリ除去以外にも軌道上での状況把握や衛星への燃料補給等に取り組んでいます。これらはすべて、対象物に安全に接近できなければ成立しません。安全な接近が可能になるからこそ、宇宙での運用の幅や可能性が広がるのです。本物のデブリに対して安全な接近や精密な制御に成功した本ミッションは、宇宙開発を「使い捨て」から「循環型」へと転換し、新たな可能性を世界に先駆けて切り拓く重要な一歩となりました。

今回のミッションで接近・観測したデブリについては、CRD2フェーズIIにおいて捕獲や軌道離脱も行う予定です。当該ミッションを担う「ADRAS-J2」衛星は、2027年度の打上げに向け、現在開発および試験を進めています。

※1 過去に同様のミッションが実施されたか否かを自社で調査(2024年12月)

※2 RPO:Rendezvous and Proximity Operations Technologiesの略称。ランデブ・近傍運用

商業デブリ除去実証について

アストロスケールは、大型デブリ除去等の技術実証を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)の商業デブリ除去実証フェーズIの契約相手方として選定、契約を受けて、ADRAS-Jを開発しました。商業デブリ除去実証は、深刻化するデブリ問題を改善するデブリ除去技術の獲得と、日本企業の商業的活躍の後押しの二つを目的とする JAXAの新しい取り組みです。この枠組みに基づき、本事業はJAXAから技術アドバイス・試験設備供用・研究成果知財提供を受けて実施されています。

商業デブリ除去実証ウェブサイト:https://www.kenkai.jaxa.jp/crd2/project/